双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

三つ子の魂

|電視| |徒然|


テレビ東京が上手いこと『アオイホノオ』をドラマ化してくれた*1ので、金曜の夜が待ち遠しい今日この頃なのである。この島本和彦が自身の学生時代を描いた半自伝的作品には、実名の人物や漫画、アニメ作品が数多く登場するため、世代的に近かったり、或いは世代が異なっても、同じよな作品を観たり読んだりして育った人なら、それらが実写でもって再現されると云うのは、やっぱり感慨深いのじゃないかしら。
主人公の燃が心酔するアニメーター・金田伊功についても、第二話の中で『サイボーグ009』のオープニング映像を熱っぽく語ったり、友人の高橋に高価なβデッキを見せびらかされて「俺もブライガーのオープニングをコマ送りで見たい!」*2と羨ましがったりする場面などに触れられて居て、燃同様に「嗚呼、その気持ち分かるヨ!」と観る側も気持ちを熱くするのである*3
さて。昔のアニメを知らない方や、お若い世代には馴染みが薄いかも知れないが、金田伊功氏は惜しくも五年前に急逝した稀代の天才アニメーターであり、極端なパースを用いた構図や独特なキャラクターの動き、エフェクトの使い方など、彼の作り出した斬新な技法の数々は”金田○○”などと呼ばれ、以降のアニメ界に多大な影響を与えたとされる人物である。私の中で氏の名前と仕事が一致するよになったのは、思春期に入ってからである。『幻魔大戦』の公開当時、未だ十歳かそこいらであった私は、それが氏の仕事であろうなどとは知る由も無いまま、あのクライマックスシーンの凄さに只々圧倒され、それから暫くの間は何だか放心したよになって、映画館の大きなスクリーンで観た映像が脳裏から離れなかったのを、今でも鮮明に思い出すことができる。『さよなら銀河鉄道999』でもそうだったなぁ。
金田氏の亡くなった翌年だったろか。NHK BS-2にて『アニメの革命児 金田伊功』と云う特別番組が放送された。手掛けた仕事や人物像、貴重な製作現場の記録、氏に所縁のある人々へのインタビューなど、一時間の中にも非常に興味深い内容なのだが、是が幸い海外の動画サイト()で今も観ることができるので、是非ご覧になって頂きたい。
尚、番組の26分15秒辺りには氷川竜介氏による金田作画の魅力が語られ、その中でもやはり『銀河旋風ブライガー』のオープニング映像を取り上げて居る。時間を歪ませたよな独特の動きのリズムを生み出すコマ割りなど、目から鱗の解説の後には、ノンテロップバージョンのオープニングを見ることができる(31分25秒辺り)のも嬉しい限り。金田氏がアニメ界に残した功績は、もっともっと評価されて然るべき、と心底想う。


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オープニング映像で金田節色々。


■『銀河旋風ブライガー』OP


銀河旋風ブライガーOP [1981] Braiger

J9 J9 なさけ~むよ~♪
山本正之が作詞作曲の、いなた過ぎる主題歌*4と、金田節炸裂の猛烈に格好良い映像の取り合わせったら!理屈抜きで強烈な吸引力を持つオープニングであるねぇ。この僅か一分と少々の中に、金田仕事の技と魅力を実に余すところ無く堪能できます。


■『サイボーグ009』OP


サイボーグ009 (1979) OP & ED

画面右からすうっとフェードインして来るジョーの憂いを帯びた表情だとか、”夢見て走る死の荒野~♪”の後に流すひとすじの涙だとか。画面奥と手前の静と動との対比と云い、只格好良いだけじゃなくて、そこはかとなく漂う悲哀が素晴らしいのね。主題歌の内容と映像とが見事に合致した、アニメ史に残る傑作オープニングだと想う。


■『 超電磁マシーン ボルテスV』OP


VOLTES V

冒頭の、ボルテスチームが颯爽と駆ける姿をガーっと追ってゆく一連の流れも然ることながら、人物らのアクションが、もうね。健一と一平の殴り合いなんかすごいよなぁ。是もコマ送りで確認したくなってしまう(笑)。

*1:福田雄一ってどうも苦手なのだが、ハーロックを実に書き割りで登場させ、しかもちゃんと井上真樹夫氏の声をあててくれたので、今回は信用することにした(笑)。

*2:燃は原作で”OPとEDは素晴らしいが、本編はアレだから見なくても良い”などと、的を射たことを云って居る(笑)。

*3:そんな訳だから勿論、本ドラマのOPも金田調。

*4:イントロに時代劇調の口上が入るって、今考えてもかなり斬新よね(笑)。

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