|音|
今頃の季節になると聴きたくなる。
Kim Sinh - Khuc Tah Tinh Ha Tinh
嗚呼、是はやっぱりブルースだ...。
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随分と前にNHKで放送された、ゴンチチの『世界音楽遺産』と云う番組を観て、この人を知った。放送に気付くのが遅かったため、観ることができたのは途中からだったのだけれど、番組はゴンチチの二人がベトナムを訪れ、ベトナム音楽界の至宝である、盲目の音楽家キム・シンさんを訪ねると云う趣旨。キムさんは確か当時で御歳七十代後半であったか。ギターや独特の形状の弦楽器を演奏し、ベトナム歌劇における現在の様式の基礎を構築した人物、と紹介されて居た。
キムさんの住まいを訪問した二人と、自宅の居間に車座しての即興セッションは、三人とも演奏するのが愉しくて仕方が無い、と云った様子で、音楽の持つ物凄く根本的な部分での「愉しさ」が、小さな部屋には収まりきらぬ芳醇な波を生み出し、静かな熱を帯びて漂って居た。番組の終わりの頃、キムさんが公園で演奏した『人生の試練』(だったかなぁ?うろ覚え故、定かで無い)なる曲が、是また実に素晴らしく、ビタースウィートな歌詞とキムさんのしみじみとした歌声、哀愁漂う旋律とが溶けあって創り出す、実に味わい深き世界。それは紛れも無く、ブルースそのものなのであった。
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