双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

会話

|雑記|

某日、肉屋店主との会話。


肉屋 「こないだ、ウチに来る営業の兄ちゃんがさ、
三日で十八万使っちゃいましたよ。
全部パーです。参りましたよ〜って。
パチンコだよ。パチンコ。ギャンブルに。
カミさんと子供居るのに、全く何考えてんだっての。
だからね、オレ云ったの。
十八万って云ったらアンタ、生活費でしょうよって。
給料幾らなんだって聞いたら、手取りで二十一万だって。
殆ど同じくらいの額だよ」
奥さん、気付かないんですかねぇ」
肉屋 「気付くも何も、足りなくなって軍資金借りたって、
そう云うんだから、カミさんもカミさんでしょ?
えへへ、ってさあ。どうかしてるよ、おかしいよ」
「そう云う人も居るんですねぇ」
肉屋 「いやぁ、色んな人が居るよ。まったく困っちゃうよ。
十八万も在ったら、オレなら伊勢丹行って洋服買うよ。
実の在ることに使いたいでしょ、お金はさ。
ホビちゃんだって、靴とかバッグとか、ねえ?」
「そうですねぇ。カメラ、欲しいですねぇ」


肉屋店主は、どう返答すれば良いものか分からぬ風で、
少しくきょとんとした後、卓上に在った新聞なんかを広げて
バツが悪いよな、憐れむよな表情で視線を逸らすと、
うんまぁ、とか何とか、もごもごと言葉を濁し、
残ったアイスコーヒーを一気に飲み干した。


私は、伊勢丹で靴やバッグを買いたい、と
そう答えるべきだったのだろか。

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