双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

新聞記事雑感

|雑記|


海上の船へ突然の落雷が在って、雷に打たれた男性が海へ落っこちて死亡する、と云う記事を読む。記事は紙面の下の方に、こんな事故が在りました、と僅かに小さく載って居るだけのものだったけれど、実際はそれはそれは凄まじい事故であったろう。
沖合いでの操業中に雲行きが段々と怪しくなってきて、やがて水溜りへこぼした墨汁がさあっと広がるみたいに、あっと云う間に分厚い真っ暗な雲が空一面を覆って、足の裏から腹の奥まで響いて震えてくるよな雷鳴が幾つか続いたかと思ったら、一閃の稲妻が物凄い轟音と共に人間を直撃する。打たれた人間が船から投げ出されて海に吹っ飛ぶ程の、落雷の衝撃の凄まじさ。その光景を頭の中で想像したら、おっかなくて身震いがした。


所謂”なりすまし詐欺”の手口は、近頃では株取引の名義貸しが主流のようで、毎日毎日、まあよくぞこれだけの人が引っ掛かかるものだなぁ、と感心してしまう。大抵は七十代辺りの高齢者で、中には一千数百万円だとか二千万円なんて人も居る。そもそも、この手の詐欺に引っ掛かるには、お金が無くては引っ掛かれない。払うお金が無い人は、引っ掛かろうにも引っ掛かれない。しかも、名義貸しは犯罪ですよと脅されて、他所に(身内にも)ばれると困るから、後から後からお金を渡してしまう。つまり元々お金をうんと沢山持って居る年寄りが、もっとお金を増やそうとして引っ掛かるのだと想う。こう云う人は概ね身内にもシビアだろうから、保証人になるだとか、家の新築費用の援助だとかもしなかったかも知れない。
息子や娘らの身内にしてみれば、そんな悪党にくれてやる程の金が在るのなら、俺たち、私たちに幾らかでも分けてくれたら良かったじゃないか、などとさぞかし心中苦々しいだろうけれど、いちばん悔しいのは、騙された当人なのじゃないかしら。七十だの八十だのになっても、未だお金を増やしたくてお金に執着して居る人たちだもの、死んでも死に切れないのじゃないかしら。何れにせよ、幾らお金が好きで貯め込んで居ても、墓場にまでは持っていかれない。

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