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拙宅で通称”つぶれキノコ”と呼ばれる、キノコ様の猫ちぐらは、一面の葱畑に面する北側の窓辺に据えた椅子の上へ置いてある。当然、一匹が乗ってしまえば余地は無くなるため、大抵は早い者勝ち方式で納得して居る風である。しかし、畑に小父さんが来て作業をして居るのを眺めるのは、拙宅の猫ら双方にとって何故だか愉しみなのらしく、そんな日は、しばしばキノコの取り合いとなるもので、何か良い手立ては無いものかしらと、椅子の代わりに棚などを据え、是を二段ベッド様の休み場とする案を考えたのだけれども、なかなか塩梅の良い寸法の棚を見付けることが叶わず、従って計画は宙に浮いた形となって居たのであった。
と、或る日たまたま目にした、組み立て式猫タワーの単品パーツの一つが、二段ベッドにお誂え向きではないか。寸法的に全く丁度であるのに加え、恐らくは廃盤の品なのだろか、残り僅かを特価にて提供と云うので*1、是を買い求めることとした。プラスチックのポールとスタビライザ、テント素材の穴倉とハンモックなどを、順序通りに取り付けて組み立てるだけの工具要らず。万一の破損に備えて部品の予備が付属して居るのも、軽量なのも有難い。早速に椅子を下げて設置。奥行き・幅・高さも実にぴたりで、最下段は穴倉の天井に当る二段目にキノコを、ハンモック様の最上段に猫布団を其々置いてみれば、理想的な二段ベッドの完成である。*2
尚、箱の説明書きによると、他の様々なパーツを好きに組み合わて、オリジナルのタワーが出来るヨ!(◆を参照)とのことで、一瞬「おお!そいつはすごい」と感心したものの、すぐさま冷静となって、主は蓋を閉じた。
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お二人さん、どうぞ喧嘩せずに使って下さいませよ。
…と、斯様な具合で猫用品に侵食されてゆくのである。因みに右隣は、いつだかに触れた”ラクラク高座椅子”。こうなるともう、洒落っ気も何も在ったものじゃないのである。