双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ビルボの鍛錬

|忍び|



ここ暫く、忍びちゃんを観察して居て気付いたのだが、大きな物音に殆ど動じなくなった。ほんの数ヶ月前までは、大きな物音が大層苦手でチック様の症状まで出る始末であったのが、何やらいつの間にか平気となった風で、隣家で行われて居る改修工事の作業の音も、別段どうともないのらしく、寝台の上で香箱など作って昼寝をして居る程だ。一方、ビビリ王子あるところの若旦那はと云うと、電動工具の音が聞こえるが早いか。ささと腰を低くした小走りで押入れに逃げ込んでは、暫く身を潜めるなど相変わらずである。
確か、以前に何かで読んだ話によれば、生後六ヶ月程まではあえて物音、人、病院、車など様々なストレスへさらすことにより、以降ビビらないストレスに強い猫に育つのだと云う。思えば若旦那は全くこの逆で、様々な人に会わせることも、乗り物にのって頻繁にお医者へ出向くことも無く、箱入り王子として育ててしまったのだけれど、忍びに関しては、幼い頃に野良猫がらみの恐怖を体験し、散々音に怯え、電車や車でお医者へ行く機会も、主以外の様々な人に抱いて貰う機会も多かったから、是がかえって鍛錬となり、忍びを強心臓な猫としたのかも知れぬ。成る程、人も猫も経験により、見聞により。精神の鍛えが要であるか。



或いは、共に暮らす仲間ができたからかな。

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