2013-09-11 主の居ない部屋 |縷々| 一昨年のこの日、主の消えてしまった家は、 今尚、そして恐らくは この先も閉じられること無く、 ずっとそのままに在る。 玄関も縁側の戸も開いたまま。 茶碗。湯吞み。読みかけの本。 削られた鉛筆の跡。映画。レコード。 主が居た頃と何一つ変わらぬ茶の間は、 つい先程まで人の住まっていたよな気配を残しながら、 其処だけが時を止めて居る。 訪れる者は、迎える者の居ない部屋に座り、 スケッチブックを開き、その人の記憶を辿るだろ。 只、主が不在と云うだけの、 永遠に留守の続く家みたいに。