双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

丸眼鏡と私

|モノ|


数年来愛用して居た眼鏡が、遂に駄目になった。*1
黒縁のボストン型でとても気に入って居り、
安物にしては、随分と長く耐えてくれたのだが、
日頃の扱いの荒さからか。レンズには傷が目立ち、
蔓の部分は度々若旦那に齧られて歯型だらけ。
果ては丁番が馬鹿になったのを
騙し騙し使って居たのが、ここへ来て、
いよいよ寿命と云う訳である。
そこで眼鏡を新調することとしたのだけれど、
はて。如何なる形が宜しいものか。
顔貌から、オーバルや細長のものは似合わぬので、
やはりボストンかウェリントン、とは想うものの
丸眼鏡への憧憬も、何かと長年拭えずに居る。
嗚呼、丸眼鏡・・・・・。
そもそも丸眼鏡と云うのは、数在る眼鏡の中でも
極めて難易度が高いとされ、一歩でも間違えれば、
如何にも滑稽な漫画的風貌となってしまう危険性を
大いに孕んで居る上、世間での需要が少ないためか、
種類を幾つも取り揃える店自体が見付からず、
故に選択肢の中へは、なかなか入れづらい形である。


しかし。
私は、敢えて丸眼鏡を選択したのである。
例にもれず、漫画となってしまうのか?


結論から云うと、いやはや参った。
是が実に良く似合うじゃないか!
こんなに丸眼鏡の似合う顔であったとは、
全くの予想外だったもので、自分でも驚いた。
以前に或る店で見掛けて試着した丸眼鏡*2が、
哀しいかな。ちいとも似合わずに撃沈して以来、
只憧れるだけであったのだけれども、
一口に丸眼鏡と云っても一様では無く、
各々の顔貌によって、レンズやフレイムの大きさ、
寸法、材質などとの兼ね合いや細かなバランスが、
特に重要となる、実に繊細で厄介なものなのらしい。
私にはどうやら、やや中ぶり程度の作りで、
レンズの上下を横幅よかほんのちいとだけ
短くしたタイプのものが、丁度であった風。
先ずは最初の一本として無難であろう、
セルロイドを模したプラスティック製フレイムで、
落ち着いた濃茶の鼈甲風を選択した次第だが、*3
実に自然に顔へ馴染んで居ると云おうか。
我ながら、何処からどう見ても
「似合って居る」
としか云い様が無いのである。それどころか、
今までの眼鏡の中で最もしっくりとして見える。


成る程、そうか。
私は丸眼鏡の似合う顔であったのか。
こいつは全くしてやったり、である。
フフフ。

*1:視力に問題は無いのだが、春先からの数ヶ月間は必須で、又日差しの強い季節などにもかけて居る所為か、周囲に私が眼鏡の必要な視力であると思って居る人は多い模様。

*2:銀縁でレンズの小さなタイプ

*3:次は勿論、黒にする。

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