双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

冬、帰る。

|日々|

去った筈の冬が出戻って、哀れな春は所在無い。
しかし春と云ったって、目前に四月を控えながらも、
ここの桜は未だ蕾のまま、枝も寒々しく、
先週にようやっと木蓮が咲いたくらいであるから、
こちらは然程、面食らいもしないのだけれど、
当の春めとすればさぞや口惜しく、心苦かろうて。
箪笥よりセーターを取り出し、スボン下、
厚手の靴下などで、冬めいた身支度をする。
猫の毛皮は、再びむくむくとして居る。
冷えた蛇口に触れると、指先が反射的に離れた。

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