双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

沖縄再訪(3)

|旅| |写眞館|


三日目:恩納村琉球村〜安里界隈


最終日。小雨まじりの朝、恩納村の宿を出立したバスは、黒糖工場や琉球村など見学の後、那覇市内へ移動し、大変に豪奢なDFSへ立ち寄るも、そうした類に凡そ縁遠い私は、只時間潰しに困ってしまう。同市内の昭和な土産物センターにて昼食を採り、鍾乳洞見学のオプション組と自由散策組とに別れるため、後者は午後一時半頃に県庁前で下車。午後五時に再びここへ集合して合流し、一路那覇空港へと向かう寸法である。


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雨上がり。読谷の琉球村へ。


琉球村は、百年以上前の古民家を移築し、当時の生活を再現したテーマパーク的な場所で、働く人たちも皆、琉球絣の着物など、昔ながらの装束に身を包んで居る。雨上がりの緑の景色に、落ち着いた佇まいの古民家が点在。
園内に咲いて居た、色鮮やかな赤い花。何と云う名の植物なのだろ。



石垣と緑に囲まれた古民家の一つ。

庭の傍らにはヤギの小屋も在って、折りしも二日前に子ヤギが二匹生まれたばかり。

元気の良いお母さん方が溌剌と切り盛りするこちらでは、座敷に上がってお茶やお菓子を頂くことができる。ヤギの親子に目を細めるなどして居たら、家の中より何やら香ばしくも甘い香りが・・・。ふらふらと匂いに誘われて土間を覗けば、お勝手の奥で、一人のおばあがサーターアンダギーを拵えて居た。昔ながらの竈を使って手間隙かけた、文字通りの手作りである。材料を伺ったところ、おばあの場合は粉と黒糖に黒蜜を少々、それに卵だけと至ってシンプルで、水分は加えないのだそう。売り子のお母さんから、バラ売りのを一つ買い求める。「お茶と一緒にどうぞ〜」と健康茶を出して下さったので、縁側に腰掛けて一口齧るや、是が何とも美味しいのである。土産物屋の試食などで口にしたサーターアンダギーには、正直、特別な思いを抱いたことが無かったので、概ねどれもこんなものかしら、と想って居たのだけれども、こちらのおばあの拵えたのは、全く似て非なるもの。むっちりとして、甘ったるくなくて、ちいとも油くさくない。つい「美味しい!!」と声が出る。お母さん曰く「そうでしょう。お土産のと全然違うでしょう。」いやぁ、サーターアンダギーがこんなに美味しいものとは想わなかったなぁ。尚、私の聞き違いでなければ、作り手のおばあ。実に明治生まれなのらしい。つまり、御歳百を過ぎて居ると云うことである。何処からどう見ても八十代にしか見えないのだから、いやはや、全く畏れ入った。
帰りがけに袋入りのを買い求める筈が、順路を進むうちに出口から出てしまい、うっかり買い忘れてしまったヨ・・・。






やんばる然とした森の木々が、沢山の水を含んで実に清々しい。
出口の少し手前に水牛が二頭。親子なのかしら。睫がとても長くて、まるで付け睫みたいなのねぇ。



高速道路を走って那覇へ移動。市内で昼食を済ませた後、自由散策組は県庁前で下車し、残りの皆さんは鍾乳洞見学へ。前者を選択したので、ここからゆいレールに乗って安里まで移動。

不可思議グルーヴ魔窟、栄町市場へ再び。







昼頃に仕舞った店が幾らか在る様子で、奥まったひっそりゾーンから、遠くの声を辿って歩いてゆけば、買い物中のおばあたち。喉が渇いてきたので、食料品店でサンピン茶を買ったら、百十円って書いてあったのに「百円にしましょうね〜」って。お父さん、有難う。お茶を飲み飲み、ぐるぐるぶらぶら。お母さんお手製の漬物のお店を見付け、島らっきょうの塩漬けにしたのとキムチ漬けにしたのと、二つ買い求める。



薄暗いところから、外の世界へ。

飲み屋街は社交街。未だ昼下がりなので、ひっそり。



裏通りてくてく。



学校の体育館やら、小さな公園やら。やがて住宅街に入って暫く行くも、あれ?調子に乗って歩いて来ちゃったけれど、今どの辺りなんだろ?スーパーの近くに交番を見付けて、歳若いおまわりさんに道を尋ねたところ、目的の通りからは思いの外、ズレれてしまって居たみたい。



一寸回り道したけれど、壺屋のやちむん通りまで辿り着いた。

細い石畳の通りを抜けてくる風が、額に心地良い。



更に牧志方面へ進む。

毎日猫に会うけれど、皆人懐っこいのだ。首輪を付けた君は何処に住んで居るの?


つづく。

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