双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

デリケエトな厠問題

|若旦那|


若旦那、膀胱炎を患う。
先週末から矢鱈と厠へ行くようになり、妙だなと想いつつ暫く様子を窺って居たのだけれど、頻繁に用を足すわりには、猫砂の塊が通常の三分の一程度の大きさしかないところを見るに、どうやら幾らも尿が出て居ない模様。かと云って、用を足す際に痛がって居る風でも無し。相変わらず水を良く飲み食欲も旺盛、元気も売って余る程に在る。只ひとつ是について思い当たるものと云えば、果たして先頃新たにした厠問題なのであった。

折りしも、若旦那があんまり豪快に砂を掻き散らすため、肉球に挟まった砂粒が日々茶の間に持ち込まれることへの対策として、天井と正面を除く三方へ半透明の囲いの付いた新たな厠を購入したばかり。大きさ深さ共に、今まで使って居たものとほぼ同じであるし、囲いが付いたと云うだけで然程の違いは無い。其処へそのままそっくりお古から猫砂を移し、全く同じ場所へ設置すると、早速に塩梅を確かめにやって来て、いつものよに用を足して居ったため、ほっと安心したのだったが、それ以降、何やらそわそわと様子がおかしいので、いきなり入れ替えるのはやはり急だったかと、翌日、片付けておいたお古を元へ戻し、新たな厠はその近くに置いて徐々に慣れるのを待つこととした訳である。しかし、依然として頻繁に尿意は催すものの、肝心の尿は至極僅か。
そして本日。仕事の暇を見てお医者へ連れて行ったところ、極めて初期ではあるが膀胱炎であろう、との見立てであった。冬場に膀胱炎を患う猫は多いらしく、中でも雄では肥満やぽっちゃり気味の猫がかかり易いのらしい。一先ずは注射、そして数日間の投薬で様子見とし、万が一、ストルバイト結晶の疑いも在るやも知れぬとのことなので、次回診察で採尿して調べましょう、と相成る。原因は定かにないものの、恐らくは十中八九、厠の変更がきっかけとなり、更に頃合を同じくして一段と増した冷え込みも、是に拍車をかけたのであろうと思われ、暢気主は実に申し訳無い心持ちとなった。何せ若旦那の気質ときたら、すこぶる元気な天下泰平、細かい事はさして気に留めぬよな猫であるため、それを過信して少々気楽に考えて居た責任は大きく、反省しきりである。
如何なる猫にとっても、厠は云わば”聖域”であって、実にデリケエトな問題なのだ、と云う周知の事実を、この度改めて肝に銘じたのであった。ピピンよ、ごめんな。

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