双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

君は友だち

|若旦那| |猫随想|


黄金色と緑色。
別々の、違った瞳。
けれど、眼差しの奥深くで、君たちは繋がって居る。
尻尾を持った、私の友だち。




若旦那ことピピンが拙宅にやって来て、本日で丸一年。想えば青天の霹靂から紆余曲折を経て、爺さんの旅立ちより、未だひと月も経たぬうちのことであった。()何だかついこないだのことのよに感ぜられるけれど、あんなに小さかったのが、健やかを絵に描いたよに育ち、もうすっかり一丁前である。


アーロンとピピン。彼岸の猫と此岸の猫。この二者の間には、目に見えぬ不可思議な絆が結ばれて居るのらしい。決して似た猫同士ではない。むしろ様々な点において両極だのに、一年前のみなしごの子猫は、予め全てを承知して居た風の顔してやって来て、今尚ふとした折に、爺さんと全く同じ習慣を、然も当たり前のよに見せる。この必然の偶然共々、全て爺さんが取り計らったものなのだろ。生まれ変わりではないにしろ、確かに若旦那は爺さんの魂のひと欠片を貰ったのだ、と想って居る。

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