双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

黒と白のカーディガン

|手仕事| |本|


三國女史の新刊『冬の日の編みもの』より『黒と白のカーディガン』仕上がる。



本を手にしたときから「表紙の是、編みたい!」と想ったのだ。袖は筒状、身頃も前後一緒に一枚で編んでゆく仕立て故、両端を接ぎ閉じる手間隙も無く、糸は二色のみで模様自体も単純。しかしながら、何せ"編み込みの往復編み"と云うのが初めてなもので、裏を見ながら編むのに思いの外苦戦。一模様編み終える頃に、ようやくコツが掴めて慣れてきたのだけれど、慣れたとは云っても、編み込みは輪にして編む方が断然楽なのは確かで、同じヨーク仕立てでもセーターの方がずっと易しい。
ノルディック模様だから『ムーミン谷の十一月』なんぞ添えてみる。


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太糸・太針を使用の所為か、出来上がったばかりの編地はいつに無くボコボコ。其処へアイロンのスチームを当てながら落ち着かせてゆくと、次第に編地が整ってくる。きれいに仕上げるのは大変だったけれど、やっぱり、ぐるりと編みこみの入ったヨークは良いな。アクセントとなる大きめのボタンは、あまり色気を出さずに素朴な木製のものとした。袖も丈も短めの作りなのが、何処か愛嬌在る佇まい。


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実を申せば、今回は思わぬ失態を犯してしまった。何とも間抜けなことに、テキストの編み込み模様のチャートを、白黒逆に見て編んでしまったのである。基本的にテキストにおけるチャートでは、地色が白、配色糸が色付き(黒)となって居るのであるけれども、使用する糸の色自体が白と黒だったため、何も考えずにチャートの見た目通りに編み進め、過ちに気付いたのは、既に身頃・両袖共に編み終わり、続くヨークへ取り掛かってやや暫く経った頃。それまでの労力を考えるや頭が真っ白になり、暫し途方に暮れる。このままでも良いか?否、いかんだろ。一先ずは茶を淹れて、甘いものつまんで、いざ気を取り直し、編み込みの始め迄ひたすら糸を解く始末。是はもう、想像以上に哀しく切ない作業であったが、全て己の早とちりの所為なので仕方が無い。しかし、怪我の功名と云うのか。編み込みの往復編みに慣れた手で編み直したことで、解く前よりも随分と安定した編地となったのは良かった。(と、しておこう。)



【左】袖は輪にして筒状に編んでゆき、身頃とくっつけてからヨークを往復編み。
【右】テキストには無いけれど、自分仕様のポッケ。右側にだけ一つ付けてみた。


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毎年愉しみなテキスト。
とっくりのアランセーターも良いし、
モヘアのカーディガンも良いんだな。


冬の日の編みもの

冬の日の編みもの

余談だけれど、文化出版局さんのテキストって、他所のと比べるとちょくちょく不親切なところが在るのね。今回のこのカーディガンも、使用する道具に12号の四本針が抜けて居たりだとか、袖の増し目の際における模様の詳細*1だとか、編みながら「?」と云う部分が結構在ったな。先述のチャートにしても横に小さく記載してあるだけなので、うっかりすると見落としてしまう。私のよなおっちょこちょいさんは、恐らく他にも居るだろうから(居ないか?)「気をつけてね!」的な念押しが在ると宜しいのになぁ、と・・・。

*1:何も書いて居ないから、地糸で増し目して模様は入れなかったのだけれど、是で正解なのかなぁ。

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