双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

彼岸の者たち

|縷々|

北向きの窓から、すうと夜風が入り込み、
部屋を囲む、秋の虫たちの、ざわつき。
昨年の今日、人知れず旅立ったHさん。
先月、あまりにも突然に旅立った恩人Aさん。
そして爺さんを、共に暮らした日々を想った。
残され生きる者は皆、癒えはしても
消えることのない傷痕を確かめながら、
其々の年月を重ねてゆくのだな。
墨夜に遠い、くぐもった雷鳴だけが聞こえる。

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