双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

お洒落雑誌考

|本| |徒然|


POPEYE (ポパイ) 2012年 07月号 [雑誌]

POPEYE (ポパイ) 2012年 07月号 [雑誌]

POPEYE (ポパイ) 2012年 09月号 [雑誌]

POPEYE (ポパイ) 2012年 09月号 [雑誌]


『POPEYE』がリニューアルした、と云う話を遅まきながら耳にし、どれどれ、と半信半疑に確かめてみたら、是が非常に良い塩梅だったので、つい嬉しくなって買い求めた次第。一頃本屋の棚に見掛けたリニューアル以前には、幾分の魅力も感じることができなかった口なのだが、新しくなった本誌には何処か、八十年代の頃にこの雑誌の持って居た、男子版『Olive』的な雰囲気が戻ってきたよな気がする。
勿論、時代が変わったのだから、誌面の構成にも佇まいにも多少の変化は在るけれど、昔読んで居た頃のあの感じ。あの感じが確かに在る。昨今のファッション誌に当たり前の、”今、コレを着ないと駄目!”だの”何たら着まわし術”みたいに、実用一辺倒な作りなんかじゃなくて、嬉しい”無駄”がちゃんと取り込まれて居る。こうした実際には役に立たないであろうかも知れぬ、一見無駄と見える部分こそが、お洒落雑誌には大切なのではないかな、と想うのだ。
是と同じことが、女子向けの『Olive』には、どうして出来なかったものか。考えてみれば、「マガジンハウス」の雑誌で今も買って読むのは『BRUTUS』(含むCasa)くらいのもので、しかしながら『POPEYE』『BRUTUS』の何れも対象読者は男性である。又、興味深いのは、時折美容室で目にする『non-no』と『MEN'S NON-NO』。因みに私個人はそのどちらへも食指は動かぬものの、しげしげ読んでみると、両者の間には明らかに目に見える違いが在る。女子版の、表紙を含む全体的な安っぽさに比べ、男子版は誌面で扱う洋服の価格も高い上、読者スナップなどに参加する子たちにも、何やら気合が入って居るのである(笑)。現代の女子のお洒落に求めるものが、男子のそれとは異なるからなのだろか。つまり、案外夢見がちなのは男子の方で、女子はあくまで現実主義、なんてことが云えるのかも知れず、巷で云うところの”モテ”願望にしても、実は女子の方がより強いのかもなぁ・・・と。
『Olive』が消え、そして再び現れることのないであろう理由が、何となく腑に落ちた気がした。

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