双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

海と散髪

|日々|


何やかや、ふた月も放ってしまった散髪へ行く。
事前に予約の電話をかけたところ、
月曜日は生憎朝の八時しか空いて居ない
との事であったのだが、
たまには早い内に動くのも宜しかろうと、
日々徐々に馴染みつつある古森号に乗っかって、
団地の中を抜け、街場へと下り、其処から浜へ向かう。
夏休みだから、道中に通学の子供らの姿も無く、
すいすいと走るまま、二十分程して美容室に到着する。
少々行儀は悪いけれど、あんまり喉が渇いたもので、
途中に買い求めた珈琲牛乳を飲みながら、
不精で伸びた分を切って頂く。
小一時間程で散髪が済み、心身さっぱりとなったついで、
折角だから海を見に行くこととする。
盆を過ぎ海水浴場を閉じた海には、途端に人っ気が無くなる。
未だ九時を少し回った頃であった所為もあり、
車の入って来ない堤防沿い、真っ直ぐに続く舗装道は、
犬を連れた初老の散歩女性と、
海水浴の立て看板を、軽トラで撤去中の男性が二人きり。
左手に穏やかな海を見ながら、
心地良い海風の中を走る清々しさ。
ふとした視線の先。テトラポットの少し手前で
若い男の子が一人、サーフボードに乗って、
只緩い波間へぽかんと浮かんで居るのを見掛けた。
そのずっと先の方で釣竿を振る小父さん。
朝の浜辺には、ざざあと寄せる波音に混じって、
時折、誰かの長い呼び声が遠くに聞こえるだけ。
一っ走りだけでは何だか勿体無くて、
堤防の端から端までを二回往復してから、
清々となった心持ちで、海を後にした。

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