双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

雨と薬缶

|日々|


喉に覚えた違和感が、軽い風邪を長引かせたか。
暫くの間、煩わしい空咳が続いて居たのだけれど、
一昨日の晩には咳も止み、どうやらようやく治まった。
ここ数ヶ月。身辺には悲喜交々、様々な事柄が去来し、
心模様落ち着かぬままに、もう師走の声を聞いて居る。


冷たい雨が束の間、霰に変わり、再び雨へと戻れば、
鼻先を刺す空気は、つんと鋭い。堪らず衿元を押さえて
屋内に駆け込むと、薬缶からなみなみと湯を注いで、
白い湯気に人心地。カップを囲った両の掌に血が通い、
程無く、じんわりと解れてきた指先を指先で温む。

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