双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

深く

|音|


うすく翳った空の色に、ふと雨の気配がしたのだけれど、
宵の足音と入れ替わるよにして、すうと消えてしまった。


Not Till Tomorrow

Not Till Tomorrow

仕事を仕舞った後の。小さな灯りの下で珈琲。
こうして待って居るんだ。さあ。深くなれ、秋。

|爺猫記|


ほぼ二日に一度の点滴も四回目。二日前からは抗生剤の投与も始まった。若先生曰く、様子を見て再度血液を調べます。数値が下がってきて居れば、点滴の回数を減らして、それ以降は徐々に投薬などで維持できれば良いのですが…とのこと。幸いにも貧血の症状は無く、食欲もだいぶ戻って来て居る。腎不全と一口に云っても、進み具合の程度は猫其々で、爺様は重症には違いないけれど、点滴や投薬、療法食などで、残された腎臓の機能を、できるだけ維持してあげること。病気の影響で上手く働けないで居る部分を整えて、少しでも働ける状態にしてあげること。それが今の爺様へ施せる治療である。老体にそれ以上の負担はかけたくない。
ところで。こんなことを口にするのは、些か不謹慎かも知れぬが(ま、飼い主が自分で云うのだから良いか)、ただでなくとも寂しい懐が、あっと云う間にすっからかん、である。赤ひげ先生の所の二回を足すと、もう三万円に届いてしまう。今の今まで病知らずであったとは云え、一切掛からずに居たその十数年分の金が、今まとめて懐から出て行って居ると考えると、なかなか複雑な心境だ。このまま順調に安定して、通院の回数が減っていってくれると助かるのだがなぁ。何事にしても、一寸ずつ。程々ってのがいちばん良いな、としみじみ想う。

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