双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

廉恥功名

|戯言|


なまじっか人として、そこそこ長く生きて居れば、
多かれ少なかれ、無かったことにしたい恥が在る。
大恥・赤っ恥とまではゆかずとも、些細な恥ならば
日常のそこいらに、幾らでも散らばって居るものだ。
例えば誤字脱字に始まり、云い間違いや勘違い。
夜更けに書いた手紙やら、浮かれ調子のついでで
つい口にした言葉など。誰しも身に憶えがお在りかと想う。
また少々異なるが、若気の至りによる外見的自己主張
なんてのは、遅効性で相当のものである。
尤も、そうした些細な恥などは、他人様から見れば
大概が実に取るに足りぬ、実に他愛の無い程度に過ぎぬのだが、
本人にすれば、嗚呼。できることなら、
ちょいと何かをどうこうして、無かったことにしたい。
後に想い出す度、頭を掻き毟りたいものなのだ。
さて。そうして考えてみると、そのときはどうとも無く
居たものが、後々になって無性に恥ずかしく感じられる
と云うのは、なかなか興味深いところである。
時が経ち、振り返ってその行いを恥と認めるとき。
恐らく我々は、過去の己よりも人として成長して居る、
のかも知れない。些細にして膨大な恥の積み重ねにより、
我々は日々人間的成長を遂げて居るのだ、と考えれば
成る程。案外恥をかくのも、まんざら悪く無いのではないか?
と云う気が次第にしてくるよな、こないよな…。
などと世迷言を書き散らかし、是を自らの云い訳としたい。*1

*1:何しろ、この雑記帖からして、恥の集積なのである。

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