双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

歯ブラシと梅雨空

|日々|


数日前の朝に、歯ブラシの頭で傷つけてしまった
歯茎と薄い皮膚との境が未だ治まらず、煩わしい。
それを忘れて、つい再び同じ箇所へブラシを当てて
しまったり、熱い湯を口いっぱいに含んだりすると、
ずきんと沁みて、うっすら滲んだ血の味が鈍く広がる。


配達業者の男性が来て、さっきラジオ聞いたら関東地方も
今日の午前中に梅雨入りしたそうですよ。手際良く伝票を
めくりながら早口でそう云い、何だかいきなりですねぇ。
と、窓の外を見やった。前触れは在ったのかも知れないが、
梅雨の話など、あと少し先のこととばかりに思って居た。
今にも降り出しそな鉛色の空を背に、数羽の鳥が連なり、
句読点が点滅するみたいにして、次第に遠ざかってゆく。

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