双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

活動日誌(2)

|雑記|


店の片付けをした後、昼過ぎに事務所へ行くと、役所の物資仕分けを手伝いに行って居たメンバー数名が、丁度戻って来たところであった。高校生の女の子が、カリカリして居るので話を聞くと、役所の職員の手際があまりにも悪いので、思わず指導してしまったと云う。「もう、最後にはキレちゃいましたヨ!」 女子高生に指導される大人。話によれば、今回の仕分けは、独居老人に限定された物資配給のためだけのもので、今日の作業は物資の幾つかを袋に詰めるだけ。翌日、市内の独居老人の所在を地図に落とした後、明後日から配り出す予定なのだ、と云う。いやはや、何とも悠長な…。しかも、その袋詰めの作業ですら、自らの裁量でてきぱきと仕切れる人材が居らず、何れの職員も現場での判断にに欠けるため、作業自体が極めて非効率的なのだ、と云う。「どうして職員がもっと効率良く動けないのかなぁ。あの人数であの程度の作業なら、さっさと終わるっての。それなら同時進行で、半分の人数が仕分け。あと半分で地図落としをすれば、明日にはもう配れるでしょ?」 ご尤も。午後からも人手を頼むとのことであったので、何人程が必要なのか、確認の電話を入れたところ、突然のキャンセルである。??? 「ぎゃあぎゃあ口煩いから、あいつら呼ぶの止そうってことじゃないの?」 事情は全く分からぬが、もしかすると案外そんなところか。



又、先日は県外からの炊き出しを断った本部が、何故か今日になって、避難所に炊き出しを受け入れて居た。理由は簡単だ。炊き出しグループが、新聞社の助力を得て居たためである。ぐずぐずと対応を遅らせて、みっともない記事が全国に流れては、さすがに困ると考えたか。この炊き出しグループは実に、約二千人分もの食事を用意してきてくれたとのこと。避難所に居る人々は勿論だが、それ以外の人々も自宅で煮炊きできる状況になったとは云え、長引いた断水や震災の後片付け。長時間並ばねばならぬ買出しなどで、すっかり疲弊してしまって居る。其処へ炊き出しをしてくれるとなれば、こんなに有難いことはないだろう。しかし、そこはやはり本部である。知らせを聞いた市民たちが、喜んで避難所へ向かったところ、一人の職員が、避難所に居る人だけが対象です。と、やって来た市民を追い返してしまった。ちなみに避難所の人数は四百人に満たない。是に困惑したのは、追い返された市民だけではない。二千人分の食事を用意して来てくれた、県外の炊き出しグループも同様である。何せ用意したのは二千食。是では千六百食もが余ってしまう。現場からの連絡を受けて、早速、市民にも配るべきだ、と本部に掛け合ったところ、夕刻になって、避難所以外の市民にも振舞われることとなった。当然である。馬鹿者め。ところで、避難所で炊き出しを行って居た自衛隊はと云うと、是は福島県民の方々の避難所へ移動。しかし恐らくは、塩おにぎりだけであると思われる。気の毒にも後手にまわってしまって居るこちらの避難所については、何かに託けて様子を窺いに行かねばと思って居る。未だに断水地区であるし、何しろ職員が無愛想で、まことに感じが宜しくないのだ。
力仕事に明け暮れた男性陣が、皆帰って来たところで、そろそろ事務所を閉める頃。二つの市の境界にあたる団地地区が断水してしまい、給水車が来ないため住民が困って居る、との知らせが入る。この団地。学区や行政面でこそ隣の市だが、生活圏その他は我が市と云う、気の毒な地区である。管轄的にはお隣なのだけれど、困ったときはお互い様だ。それに、もうじき日も暮れてしまう。昨日同様、200Lタンクと物資で届いた給水袋に給水し、拡声器を持って早速に向かった。一時間半程して戻って来たので話を聞くと、皆さんとても喜んで居たとのこと。給水車は来ないし、水道局は、明日には出ますからと云うけれど、それじゃ今日使う水はどうするの?と。ご尤も。其処へ丁度、本部へ出向いて居た会長も戻って来た。「朗報です!」 県議が対策本部に檄をとばしてくれた甲斐在り、市長から直々に、我々だけではどうにもなりません。皆さんに助けて頂きたい。お願いします。と、役割を依頼されたとのこと。加えて市は、数日後などと悠長な段取りであった独居老人への物資配りも、早急に民生委員に招集をかけて、明日には実行すると云う。我々と各地区の民生委員とで回る運びとなった。ようやく、もどかしい制限無しに動ける。市はおかしな見栄など捨てて、初めからそうすべきであったろうに。明日からは更に忙しくなりそうだが、皆の活き活きとした顔が目に浮かぶ。

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