双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

|縷々|

水道が凍った。今年に入って、三度目。
幾度も身体へ云い聞かせて、ようやく
寝床を出、顔を洗おうと洗面台へ向えば、
蛇口の先に、小さな氷柱が出来て居た。
気の遠くなるよな一滴一滴が、健気に
ひと晩掛りで拵えたのであろうそれを、
じいと黙って眺めるうち、冷気に強張った
肩はほどけ、清々と。静かな心持ちとなる。
温い湯たんぽの湯を洗面器へ張れば、
たちまち湯気はか細く、ふと手を止め、
昨年の冬はどんなであったろか、と想う。

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