双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

小さな映画館

|映画|



CSにて 『デス・プルーフ』 と続けて二本。個人的にはこちら ↑ の方が好みなのだけれども、グラインドハウスと云えば、我が国だってほんの一昔前までは、映画の二本立てが当たり前だった筈。お若い世代には馴染みが無いかも知れないが、封切映画でも大抵は同時上映が付いて居て、一回ごとの入れ替えなどと云う制度も無かったから、大手を振って好きなだけ観て居られたものだ。
少なくとも高校生の頃までは、そんな映画館が未だ数軒、隣町に残って居た。主に娯楽映画のかかって居た大きな映画館は、その全盛期こそ貫禄の佇まいであったが、次第に斜陽となり、やがて閉館となって長らく放置された姿は、哀しいくらいにうらぶれてしまって居た。それ程足を運んだ憶えは無いが、最後にここで観た映画は 『ステラ』 と 『ニュー・シネマ・パラダイス』 の二本立て。丁度映画の日と重なった、高校の卒業式の帰りだった。
其処から少し行った老舗百貨店の中には、こじんまりと小さいながらも、良質な小品のかかる映画館が在り、こちらには良く通ったので想い入れも深い。百貨店の改装を機に設けられ、奥まって目立たぬよな場所に、ひっそりと仄暗い佇まいが良かった。丁度 ”ミニシアター” と云う言葉が、ちらほら聞かれるよになった頃であったと想う。スクリーンは二つ。片方では集客のための比較的大きな映画を。もう片方では、単舘系の小品や昔の名作などがかかり、通路一本を隔てて 『ロボコップ』 とロメールとが隣り合ったりしたものだ。ここもやはり、一作品入れ替え上映が主流となる以前は、二本立て上映であったのではなかったか。今では何れもが消えて無くなり、前者は現在、隣接する高層マンションの駐車場となって居る。


   ---------------------------------------------


シネスイッチやシャンテシネの未だ遠かった頃は、あの小さな映画館へ遅れてやってくる映画が、私にとっての映画であったのかも知れない。嘘をついて学校を早退した平日の昼時は、大抵独りきりで、地下の店に買い求めたパンをかじりながら、表の暗くなるまで。映写室からまっすぐ伸びる光の先を、ずっと見詰めて居たのだ。


[asin:B00005FPT2:detail]
この二本立ては、特に印象深く心に残って居る。

キカ <ヘア無修正版> [DVD]
なまいきシャルロット ニューマスター版 [DVD] ミツバチのささやき [DVD] デリカテッセン <デジタルニューマスター版> [DVD]
ギルバート・グレイプ;WHAT'S EATING GILBERT GRAPE [DVD]

などなどなど…。


そうだ。これもここで観たのだっけ。

<