双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

畳半分在れば

|手仕事|


かれこれ一月程前となるだろか。手仕事周りのための ”ささやかな” 作業場を、店の隅っこへ拵えたのである。
数年前に拵えた作業場*1は、次第次第、Aちゃんの読書スペエスとなって久しかったものだから、是は気前良く彼女に譲る形とし、目鼻の先へ作業場をお引越しすることとした訳なのだ。しかしながら新たなスペエスと云うのが、以前のと比べて随分と手狭い上、採光も全く無い。実に隅っこも隅っこ。壁と出っ張りとの僅かの間に在る、文字通りのデッドスペエスなのだけれども、幸いにコンセント口も在り、お誂え向きと云えばお誂え向き。狭ければ狭い程、意欲を掻き立てられるのも事実で、ふつふつと愉しみが湧いてきた。
何せ幅75cm、奥行き60cmの超狭小スペエスへ、必要なものを全て収め、尚且つ快適な作業環境を作らねばならぬのだから、それこそ取り組み甲斐も在ると云うものである。先ずは旧作業場より机や道具類をごっそり移動する。机は小学校で昔使われて居た、低学年用の非常に小さなもの。この机の幅が、丁度其処へ収まるのに気付いたことが、そもそもの引越しのきっかけでもあった。机の下部にはお馴染みの収納が在るから、ここへはお道具箱ならぬ裁縫箱や、小型アイロンなどが入った。核となる机を据えた後、長らく使い道の無いままで居た、是また小さな子供用の木製椅子を合わせると、どうだろう。互いの高さは、測ったよにぴたり合うではないか。机の右隅に小型ミシンを、正面には木箱を横向きにして立て置く。実際にやってみると、考えて居たよりもずっと上手い具合に収まってくれた。この木箱、実家の物置で見付けた古いもので、祖父が工具箱として使って居たのであるが、是が毛糸玉を収納するのに丁度良い上、見目も宜しく重宝して居る。
さて。机の上だけでは、さすがに置けるものにも限界が在るので、簡単な棚を作る必要が出て来た。そこで腰板の見切り部分が角となる所へ、手頃な端材の板切れを打ち付けて、是を簡単な棚板とし、その上へ道具箱代わりに使って居た、抽斗式の古い薬箱を。その上に籠の裁縫箱を置く。何れも祖母宅より持ち帰ったものだが、またしても板の幅にぴたり。また、採光の無い薄暗い隅っこ故、灯りは必須であるから、腰板の見切りにクリップ式読書灯を挟み付けた。コンセント口はすぐ下。
後は、テキストやら筆記具などの品々を上手く隙間へ配置して、狭小作業場の完成と相成った。殴り描きに近い形で画にしたものが在るので、恐縮ながら参考までに載せてみる。
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左側が出っ張りで、右側が壁面。幅75cmの奥行き60cm。見るからに狭いでしょ?でも、出来上がって早速に座ってみたらば、何だか妙に居心地良くて、すっかり満足してしまった。穴倉に近い気もするなぁ。それに、殆ど人目に付かぬよな場所であるから、気兼ねの無いのが良い。
毛糸の入った木箱には目隠しの布をかけ、机の脇のフックには、掃除用の小箒やら、編み物用具を入れた帆布のトートを吊るして居り、足元に出来たスペエスへは、布類を畳んで仕舞った籠を置いた。また、出っ張りの上には、型紙やら材料やらの入った小抽斗を乗せてあって、手を伸ばせば届くと云う寸法。

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