双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ご挨拶

|雑記|

晦日は母方の祖父の命日。
朝より支度を整える。その年毎の着用
頻度に拘らず、一年の終いの日と元旦
には必ず着物を着るのを心得として居り、
前日の内に箪笥から出しておいたのは、
冬らしく、黒地に赤と白で絣の入ったお召しと、
黒地に茶縞の紬の羽織。中には好きなだけ着込み、
最後にぐるり。マフラーを巻いて家を出る。
午後までには天気が荒れると聞いて居たが、
案の定。墓へ着くなり突然の雪だった。
それはそれは大粒の、如何にも是が雪であります、
と云わんばかりの。皆は余りの寒さに
歯を鳴らして震えて居たけれど、こう云うときの
着物と云うのは、びくともせぬから心強い。
墓参りを済ませて実家へ戻ると、父が蕎麦打ちを
終えたところであった。親類に配る分を取り分け、
帰省した従姉妹らの家へ届けにゆく。届けて寄った
ついでに、お茶などよばれて話し込んで居たら、
外はすっかり暮れて居た。玄関を開けると風が冷たい。
どうもご馳走様。それじゃ、良いお年を。
つっかけた下駄を前倒しに小走りし、丸めた猫背の
内側に 「おお、さむさむ。」 と独り言つ。



無粋にも駆け込みの格好となりましたが、本年最後のご挨拶になります。今年一年、辺境の拙日記にお付き合い下さいました皆様。有難う御座いました。懲りずに引き続き、明くる年も宜しくお付き合い願えれば幸いに存じます。おお。除夜の鐘が聞こえて参りました。新年まであと数分ではありますが、どうぞ皆様。良いお年を・・・。

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