|雑記|
師走を肌で感じられぬ寂しさよ。
時勢は年々、こうした季節季節の佇まいを
失ってゆく。冬には冬の。師走には師走の。
目には見えぬ其々の手触り、匂い。
其々との向き合い方が、心づもりが。
日々の営みの中に、嗚呼。もうそんな季節か
と感じ入ることのできる、そう云う何気無い
あれこれが、確かに在った筈だのに。
そうしたささやかな移ろいは、いつの間にか。
予め用意された模造の季節に埋もれてしまった。
ならばこうして窓を開け、心を澄ませよう。
硝子戸一枚を隔てて、季節は其処に在る。
も少し経ったら、交わす挨拶の終わりに
私は 「良いお年を。」と加えることだろう。
漬けた柚子に湯を注し。煤を払うことだろう。