双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

嫌いじゃない

|日々|

朝、叩き付けるよな激しい雨音で目が覚める。
カーテンの隙間からは、暗い朝が覗いて居て、
既に薄暮の終わり程の気配だった。薄暗い。
そのまま再び枕に頭を預け、浅い眠りへ戻る。
もぞもぞと、収まりを求めて脚を動かすも、
夜具の深くへ潜った猫は、ぴくりともしない。
昼近くに寝床を出ると、雨足はさらに強まって、
空は変わらぬ鉛色して物云わず、押し黙ったまま。
秋の冷たい空気が、蛇口から流れ込んでくる。
嗚呼、そうだった。こんな一日は嫌いじゃない。
一日中仄暗くて、雨降りで、そして薄寒い。
何処へも出掛けずに。只、家の中に過ごすのなら、
こんな一日が良い。それだのに、夕刻に野暮用の
在るのが、ひどく残念と想う。このままこうして、
あったかな支度に包まって、青いマグカップから
少しずつ珈琲を飲み、毛糸玉をいじって居たい。
小さな窓硝子の傍らの、頬杖の向こうを眺めやる。

<