双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

風の無い日

|日々|


件の元・食堂中古物件は、先頃買い手が決まったと聞く。
そうか。決まったか。只、そう聞いても然程に口惜しく
無いのは、恐らく。ざわざわと寄せた細波に、是だと
確信めいたところが足りなかったから、かも知れない。
要は縁が無かった、と云うことだ。次はいつとも知れぬ
機とやらを、構えずのんびりと待つとしよう。


今の今までしらばくれて居たくせに、何を想ったか。
残暑の奴め、急に現れた。小虫は飛び交い、蝉は鳴く。
むわとした熱が、風の無い、だらけた空に上ってゆく。
午前中遅くに干した洗濯物が、もう午後には乾いて居た。
残暑を引き摺ったままの夜は、久々に寝苦しい。

<