双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

帰れないから帰らない

|戯言| |旅|


今、無性に青森へ行きたい。行きたくて仕方が無いが、
是をどの様に考えたところで、無理なものは、無理。
夏を逃せば、次回の18切符は冬、或いは春となり、
しかし、恐山の開山は五月から十月の間であるから、
折角青森まで出向いても、恐山へ入れぬのではやはり
醍醐味に欠ける気がする。どのみち近々が無理ならば
勝手の旅程でも仕立ててみるか。と、時刻表を傍らに、
いつもの暇潰しに興じることとした。はてさて。
二泊三日で、何とか無事帰って来られるだろか。
時刻表をお持ちの同好の諸氏方、宜しければ路線図なぞ
眺めながら、どうです。ご一緒致しませんか?
ええ。勿論、鈍行列車の旅となりますが(笑)。


さて出立。常磐線は始発に乗って、いわき、原ノ町と。ここで乗り換え仙台まで。先は東北本線に乗り換えて、一ノ関、盛岡、八戸まで行くかとも想うが、否。ここはやはり、午後の内に盛岡で降りて、ぶらり散策の後、一泊したい。宿は 『北ホテル』 が宜しいか。散策の締め括りは、念願の喫茶・ふかくさにて珈琲など。
二日目の朝は早い。あの旨い朝食を諦めねばならぬが、前日のうちに頼んで、サンドウィッチなど拵えておいて貰うのも、一案か。兎も角、朝6:45には盛岡を出立。八戸で乗り換え、野辺地まで。其処から大湊線は快速・しもきたへ乗り換えて下北で降りる。ええと、ここで11時少し前か。駅前よりバスで恐山へ向かう。帰りは14時台のと16時台のとが在るが、ゆっくり見て廻りたいので、ここは後者に乗って野辺地、其処から東北本線浅虫温泉まで。18:22着。何処か塩梅の宜しい宿で一泊。陸奥湾を眺めながらの湯に、とっぷりと浸かろう。無人の島は、夜更けに動き出すだろか…。
三日目は、百けん先生の阿房列車宜しく、奥羽本線仙山線とでそのまま帰途を考えて居たのだが、胸中にホーボー虫が騒ぎ出し、何だか酒田へ寄りたいなぁ、などと想う。良し。帰りを一日延ばして三泊としよう。となると、旅程を検討し直さねばな・・・。ええと、先ず浅虫温泉を朝7:31に出立。青森で東北本線から奥羽本線へ乗り換えて、弘前、秋田と。ここで羽越本線に乗り換えると、酒田へは午後16:55着か。となると、土門拳記念館は間に合わぬので、こちらは翌日に。何々?「るんるんバス」とやらが出て居ると?いやはや、実にそれは”るんるん”であるなぁ(笑)。とか何とか、酒田で一泊。
さて。朝は早くに荷をまとめ、できれば旨い朝食を頂いた後、件のるんるんバスに乗り、土門拳記念館を見学。酒田の街も散策したりして、午後早くには出立したいところだが。さて、どうして帰ったものか。ええと、先ず14:26に酒田を出、羽越本線で坂町まで行き、其処から米坂線で米沢まで。奥羽本線に乗り換えて福島、東北本線で郡山には22時…駄目だ帰れない、帰れない。この案は却下。
次なる案は、と。酒田を陸羽西線の快速・最上川で14:00出立。新庄で陸羽東線に乗り換えて鳴子温泉で再び乗り換え。新庄でも鳴子でも、待ち時間が一時間以上在るが、途中散策には丁度良い。鳴子温泉から小牛田。ここより東北本線で仙台には20:44着。どうも怪しいぞ(笑)。常磐線は…ううむ。やはり原ノ町止まりか。是も却下。
はてさて。どうしたものかなぁ。新庄から奥羽本線にしてみるか。新庄までは前案に同じく、ここより奥羽本線で羽前千歳まで行き、仙山線へ乗り換えて仙台へは18:59着。良し良し、何とかなりそうだぞ。ええ、ここより常磐線に乗り換えて。と…嗚呼、惜しい!是はいわき止まりか!


酒田へ寄らねば良いものを、寄りたいものは寄りたいのだから、仕方が無い。どのみち結局帰れぬのならば、いっそ帰らずに、このまま東北中をぐるぐると廻って居ようかしら。五能線にも乗ってみたいし、弘前も歩きたい。津軽に八幡平、三陸海岸等々等々。”目的の無い行脚”と”目的の在る行脚”との狭間で、ふらりふらり。いつまでも何処までも、こうしてさすらって居たいものだけれど、やれやれ。そろそろ仕事に戻らねば。

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