双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

お江戸ホールデン

|戯言|


ええ、おいらは所詮、俗で卑小な人間でさぁ。
ええ、高尚なとこなんざ、これぽっちもねえでやんすよ。
『ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ』 なんてのは、何遍観たって
さっぱり分からねえ。そいつの何処が悪ぃんだ?そいじゃ何かい。
寺山修司は分かるってのかい?そりゃ、おいらも分からねえけどよ。
おいらが髪結に行かねえのは只の不精で、仏蘭西女が行かねえのは
洒落てるってのはよ、こりゃいってえ、どう云う料簡なんでぃ。*1
男漫画は画が受付けねえだとか、伊太利亜の蹴球なんざ落ち目で
ざまあねえだとか、マカロニ観るのが下司だってんなら、上等でぇ。
ああ、下司で卑小で結構じゃねえか。所詮おいらは代官山でも
学芸大学でもねえ。高円寺と中野と阿佐ヶ谷パールセンターなんでぇ。
聞いて腰抜かさねえでおくれよ。何せおいらの電脳箱に入ぇってんのは、
窓式の九十八型ときたもんだ。そいじゃあんまし具合が宜しかぁ
ねえだろうって?違ぇねえ。確かに具合の悪ぃときもあらあな。
なりだって、ええ、そりゃ滅法草臥れたもんでやんすよ。
どっからどう見たって、滅法草臥れてやがるってなもんだ。
だからどうしたい。えっちらおっちらやって、山なんざ登るんなら、
海で戸板の細せぇのに乗っかってた方が、よっぽど好いってかい?
ああ、構いやしねえよ。そうしてえってんなら、そうしなよ。
何でぇ、生きづれえ世の中になっちまったもんだね、おい。


それがどうだい。ここの長屋のご近所さんがた*2ときたら、そりゃあ
好いもんだぜ?あんまり好いもんだからよ、住み始めてこっち、
ちいとも出ていく気がしねえんだ。有難ぇなあ。まったくよぅ。

*1:どうもこうも、そりゃ仕方無いわなぁ(苦笑)。

*2:あなたがたでございます…。

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