双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

途中で

|縷々|


ありったけの力で走ったりときどき歩いたりしながら ずっと これで良いのに違いないこのまま進んで良いのに違いないと想って ここまで来たらきっともう大丈夫だきっともう迷わないんだと想って ふと振り返ったら ただうすぼんやりしたのがゆらゆら揺れて居るのが見えるだけでかたちも何も曖昧で あぁ何てこった ちっとも分からなくなっちゃった
どうしたかったのか何をしたかったのか憶えが無い訳じゃないけれど 確かに何処かで投げ出してしまったことがあって疲れてしまったことがあって けれど気付いてしまったら面倒だと想って結局はうやむやにして放っておいてしまったんだ そうやって
ずっと同じ強い気持ちを持ちつづけるのはとてもとてもしんどくて ずっと同じことを信じつづけるのはとてもとてもしんどくて
たまにうんざりして投げやりになることで忘れようとするのはきっと卑怯に他ならず だからつい軽い気持ちで振り返ってしまってそこで見えたものが何であろうと 怒ったり悔やんだり嘆いたり責めたりしちゃいけないんだ決して 実は進んでいたのじゃなくて行ったり来たりぐるぐるぐるぐる堂々巡りして居ただけなのだとしても 失望したり疲弊したりしちゃいけないんだ決して
けれど
とりかえしならきっとつくかな 一度最初に戻ったところからまた始めたら良いのかな いろいろ余計なものも煩わしいものも一旦全て落っことしてまた最初からもう一度
それまでは急がなくて構わないからちょっとずつより良いと想えることを考えて 苛立ったり悲観するよなことなど考えずにただ穏やかに心づもりを整えよう 次の始まりには身の丈にあったことを考えよう誠実に欲張らずに
もう走るのじゃなくて しみじみ歩いてゆきたいと想う

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