双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

羊の季節

|モノ|


寝台の夜具に、毛布は未だ加わって居ないけれど、
掛け布団の上に、大判の膝掛けを一枚だけ。


毛織のあれこれ。湯たんぽ。毛糸。
編み物。登山用の靴下。
毛玉のついたカーディガン。
ネルの寝巻き。就寝前のカミツレのお茶。
膝の上の猫。朝の冷たい空気。
束の間の日だまりの匂い。薄い空色。
部屋で過ごす夜の時間。朝の仕度。


秋と冬を取り巻くものたちは、静かにゆっくりと、
内側へ内側へ向かってゆくものたち。
華やかな春とも、夏の開けっぴろげとも違う。
何処か内省的で、ひっそりして。
たった一枚の膝掛けであっても、季節は変わる。
鼻先の温度も。匂いも。そこに、ぬくぬくと。
安堵と佇まいを持ち込んで、作り出す。
寒い季節が好きだから、それを取り巻くあれこれが好きなのか。
寒い季節のあれこれが好きだから、そんな季節が好きなのか。
はて。どちらが理由なのだろ。



|本|


おやすみ モーフィ 岡尾美代子の毛布ABC (クウネルの本)

おやすみ モーフィ 岡尾美代子の毛布ABC (クウネルの本)

毛布。ブランケット。スロー。膝掛け。
名前も大きさも様々だけれど、どれも皆
寒い季節の、形。羊よ。有難う…。

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