双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

消えゆく風景を想う

|電視|


先週末に録画しておいた『中国鉄道大紀行』春の旅編を、
小出しにしながら、少しずつじっくりと観て居る。
たとい未知の土地であっても、琴線に触れ、それに同調する
静かな興奮を感じるとき、私は或る種、郷愁にも似た
懐かしい気持ちを抱くことが、決して珍しくない質である。
大変革真っ只中の中国も、ひと度、田舎へと目をやれば、
未だ未だ情緒も風情も、ちゃあんと残って居るのが良い。
近頃、中国を扱ったドキュメンタリと云うと、
土地開発問題だの経済問題だのと、何とも世知辛いのが
ここ暫く続いて居たので、少しばかりほっとする。
尤も、あれだけ広大な国土ともなれば、主要都市から
離れた地域の隅々にまで、近代化を浸透させるのは
容易でない筈だろうけれど、いずれは開発の手が伸び、
かつての名残の消えゆくのも、先々のこととは云え、
時間の問題かも知れぬ。目下の北京なども近い内には、
空々しい近代ビル群に囲まれた都市風景へと、
すっかり変貌を遂げ、今昔の旅人を惹きつけた胡同も、
もうじき、消えゆく運命にあるのだろな。
かく云う我が国、日本とて、悲しいかな。
大概の現状は、これに似たよなものだけれど。

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