双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

おいらボクサー

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[BS-2 あしたのジョー放映雑記]

だが俺は、日本一の近代設備を誇る白木ジムの誘いを蹴り、橋の下のおんぼろジムから、血まみれでのし上がってきた男と闘うんです。きらびやかな明かりも、あたたかい布団も無いような所で、俺を待って居たんですよ。あの、矢吹丈と云う男は・・・。

嗚呼。力石・・・(涙)。*1子供の頃は、段平ですら入り込めぬ力石とジョーの間に、何かと割り入ってくる葉子のことが、何故か嫌いで仕方なかったものだけれど、今にして思えば、幼心ながらに嫉妬して居たのかも知れません。まぁ、サチと同じよなものですな(笑)。過酷な減量を己に課す力石を、何故そうまでして、ジョーごときに固執するのか?と問い詰めて、一蹴されるのですよね。お嬢さんには分かるまいが、これは男の世界の話なのだと。「本物だった。本物だった・・・。」と、ジョーを見て涙を浮かべ。白木ジムのおっかない地下倉庫に篭り。女子供にゃ分かるめぇ、ですよ・・・。とは云え、私には、夜な夜なこっそり抜け出しては、うどんを食ってしまう西を、責められません。鼻からうどんは出て居ても、あれは、何とも実に悲しい話です。西は結局、力石やジョーの住む世界には、到底近付けぬ「普通の男」なのです。しかしながら、結局のところ、最も無難な仕合せを手にしたのは、のりちゃんと結婚した、普通の男である西かもなぁ、とも思えるのです。一方で、普通に生きることを選ばなかった男ジョーが、退院後の祝いの後、眠ってしまうのが惜しい夜なんて、生まれて初めてだぜ、と、独り布団の中でむせび泣く場面は、何だか妙に、歳相応の幼さを感じさせ、非常に切なくなってしまう場面でもあり、ジョーが皆に愛されて居ることが、しみじみと伝わってくるのと、あおい輝彦の科白の感じも含めて、TVアニメ版でも心に残って居る場面の一つです。そんな訳で『アニメ夜話』にて語られて居た「ジョー=僕らの明日=自由=孤独を受け入れて生きてゆく」説*2に、ちょいと目頭が熱くなりました。
一日遅れで観て居るので、力石との対決と劇場版。明日までお預けなのが歯痒い。

*1:そんな力石も、ちゃっかり丹下ジムに、葬式の花輪を送りつけて居たりする訳ですが。

*2:島本さんの説とは、また別なんだけど。

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