双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

Il cucitore

|縷々| |本|


例えば。そこに古い机が在って。
それと同じく、古い椅子も在って。
板と板との継ぎ目に、僅かな隙間を
幾つか見付けても、余り気にせず。
水拭きして。きれいにして。
その上に、楚々とした野の花を一輪。
文字も模様もついて居ない、
透明のただの瓶。半分水を汲んだら、
野の花をそっと、差してみたい。


『どんぐりのたわごと』『日記』を収録。

<