双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

ほろ苦き日々によせて

|雑記|


季節の習慣の様に首元へまわした
木綿のマフラーを、うんざり顔で外しては、
天気の見当を誤ったことに、小さな落胆を覚える。
けれども、うっすらと汗ばむよな
無粋な気温には、やはり違和感を隠せない。
どうせ日が沈めば、本来其処に在るべき季節に、
本来在るべき、寒々とした空気が戻って来る。



夜になって、友の話に耳を傾ける。
そうだね。世界は確かに狂ってしまった。
世の中には、人に悪意をぶつけることでしか
自分の居場所を確認できぬ、愚かな人間が居て、
それを、ただの気の毒とやり過ごすのは
案外、其れ程容易なことでは無くて、
そして大抵の場合は、後味の悪い惨めさや、
暗い虚脱感だけが残され、暫しの間「何故か」
と問わずには居られない。理屈では分かって居ても、
いわれの無い悪意のもたらす仄暗い憂鬱は、
払っても払いきれぬよな、気味の悪い感触でもって
それを受け取ってしまった者を、捕らえてしまう。
けれどそれでも、私たちは愚かな人びとを許そう。
これから彼らの辿るであろう、悲しい末路を憂い、
自分が幸いにも彼らと同じで無かったことを
心底、良かったと感じよう。
気に病むことは無いさ。
あなたはあなたで在れば良い。

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