双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

猫が行方不明

|猫随想|


仕事を終え、ほっと人心地つきつつ、
テレビなど見て居ったところ、先程まで
確かに在った筈の、猫氏の気配が消えて居る。
むむ。いつから居ないのだ?
猫氏は家猫であるため、部屋から外へ
出ることは殆ど無く、時折出たとしても、
窓から階下の屋根の上に降りて
右往左往したり、日向ぼっこする程度。
もしや、と思ってトイレへ向うと
案の定、窓が猫幅分、しっかり開いて居た。
ここからだと、外へ出られる寸法だ。
懐中電燈片手に、慌てて外を探す。
耳を欹てて鈴の音に注意するが、
辺りはしんと、静まりかえったまま。
一旦、引き返そうか、と思った矢先
植え込みの中より「チリン…」
「おい!其処か??」と近寄るや、
奴さん、猛スピードで階段を駆け上がって
ちゃっかり、玄関の前に鎮座した。
顔を覗き込むと、キャットミントの残り香。
恐らく植え込みで、ガジガジガジと
かじって居たに相違ない。手拭いで体を
拭いてやった後、部屋に入ってしまえば
まるで、何事も起こらなかったよな、
しらばっくれ具合だ。ふん。
全く、人の気も知らんで。

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