双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

吟遊詩人はポケットの中にマッチを隠す

|旅| |回想| |音|


テキサス州オースティンから、ルイジアナ州
ニューオリンズへと向かう、夜行バスに乗ると
いつも、ヒューストンで乗り換えになった。
長旅の時間の殆どは、大抵が
移動中の睡眠に取って代わるけれど、
それでも、車窓の景色が後方へと、流れ
過ぎ去ってゆくのを、何かを想いながら、
或いはただぼんやりと、眺めてみたりする。
あれは、いつだったろう。
ヒューストン〜ニューオリンズ間の何処かで、
夕暮れどきの車中、ふと目を覚ますと
右も左も、景色の全てが、水面になって居て
私はその時、まるで、バスが水上を真っ直ぐ
ひた走って居るよな、おかしな錯覚に陥った。
大きな川だったのか。海だったのか。
それともあれは、夢であったのか。
その後も、何回か同じ道を通る機会は
在ったのだが、どうやら眠ってしまって、
未だあの風景には、再会できないで居る。
もしかしたら、別の道との
単なる、思い違いかも知れない。


[本日の店内音楽]
HejiraThe HillOld RamonSleeping on RoadsNavigators Yard

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