双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

春近し、自転車とマフラー

|日々|


今日の午後。一段落してお茶を飲んだ後で、
私は、店の中から窓を拭いていた。
窓を拭く作業が好きだ。
硬く絞った手拭いで、汚れを落としてから
今度は乾いた手拭いで、きゅっきゅっと
窓硝子を磨いてゆく。
磨き終えた窓硝子越しに、
ちょっと離れて、外の風景を見やる。
下校途中の中学生たちが、自転車に乗って
ゆっくりと走っているのが見えた。
2台の自転車は、前と後ろに連なって、
中学生たちのマフラーは、
ほんの少しだけ、風に流されている。
ゆっくりと走る中学生たちは、
とても素敵な笑顔で、
顔を上に向けながら、何かを叫んでいた。
きっと、同い年の他のコたちよりも
幼く見える、ふたりの中学生。
ああいう笑顔には、
しばらく出会ってなかったな…。
もう、春が近い。
自転車が去った後、入って来たお客さんが
「明日、春一番が吹くって聞いたよ。」
と云った。

<