双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

春の足踏み

|日々|


三月の異常気象の所為で、例年よか随分と早めにバラが芽吹き、
しかしながら、案の定。このところの気温の急降下である。
一部の株は、やわらかな新芽がチリチリにいじけてしまった。
剪定鋏持って、茶色く枯れてしまったのを切り落とし、
堪らず、ひとつふたつ。長い溜息などつく。
とは云え、大方はしっかりとした蕾をたくわえながら、
瑞々しい緑を明るく茂らせて居る。バラは強いのだ。


そんな折、或る日の水遣りの際にふと気付いたら、
壁に仕立てたつるバラに三つ在ったカマキリの卵から、
それはそれは小さな子カマキリたちが、いつの間にか
ちゃんと羽化して、枝葉の方々へ散らばって居た。
嗚呼、良かった。どの卵も無事に冬を越せたのだな。
子カマキリ皆が皆、全て成長できる訳ではないだろうけれど、
このささやかな庭に生まれた、折角の縁である。
思う存分に生を謳歌し、育っていってくれたら嬉しい。


空模様は相変わらず不安定で、午後は薄曇りから冷たい雨空へ。
一旦は冬の役目を終えた筈のストーブが、結局は再び稼働中である。
春の奴め、気まぐれな双六の途中で”一回休み”を決め込んだか。
足踏みの春に、いちいち振り回されて右往左往するのなら、
いっそ我々も、双六を一回休みにしたら良いじゃないか、と思う。
シャツ一枚ではとても心もとなく、コットンのカーディガンを羽織り、
牛乳を買いに行く。通り沿いの小学校の桜はすっかり葉桜だが、
この花冷えのお蔭で、正門脇の牡丹桜だけは、未だ花を保って居る。
まぁ是も、今日の雨風で散って終いとなるのだろうけれど。

お年頃の漢方薬 第三弾

|てがきはてな| |雑記|


五十肩

桜の開花と入れ替わりで、花粉症もすっかり落ち着いたので小青竜湯はお終い。これからの春の不調に備えて抑肝散を再開するべく、午後掛かり付け医院へと出向く。加えて今回は、数年前から度々繰り返して居る「五十肩」が芳しくないので、ついでにこっちもお願いする目論見である。
因みに「五十肩」は俗称で、正確には「肩関節周囲炎」と云う。肩の関節部分の骨や靭帯、腱などに炎症が起こり痛みを発症、それによって肩の曲げ伸ばしや上げ下げが困難になるもので、「四十肩」と云うことも在り、要するに中年以降に多いのでこの名が付いたらしいが、たとい三十代で患っても、病名は「五十肩」である。
何が原因で発症に至ったかについては、全く心当たりが無いのだけれど、まぁ恐らくは是も又、所謂”お年頃”の一環なのね、と受け入れることとした。幸い五十肩には五十肩専用の漢方薬「二朮湯」が在るので、ああだこうだ迷わずとも済んだ次第。

【二朮湯】(ニジュツトウ)

  • 構成生薬:白朮(ビャクジュツ) 茯苓(ブクリョウ) 陳皮(チンピ) 天南星(テンナンショウ) 香附子(コウブシ) 黄芩(オウゴン) 威霊仙(イレイセン)  羌活(キョウカツ) 半夏(ハンゲ) 蒼朮(ソウジュツ) 甘草(カンゾウ) 生姜(ショウキョウ)
  • 症状・体質:体力中程度で、肩や上腕などに痛みのあるものの次の症状
  • 効能・適応症:五十肩

*「水」に作用

何しろ「二朮湯」は、保健適応病名が「五十肩」のみ、と云う異色のお薬である(笑)。痛みをとる生薬を中心に、水をさばいて巡りを良くするもの、胃腸の働きを良くするものなどを組み合わせ、五十肩を”湿症”で考える、と云う点も興味深い。とりわけ水の代謝が滞りやすい体質の人には、より効きやすいのであろう。花粉症にしろ関節痛にしろ、私の不調もどちらかと云えば「水」の方面であるから、なかなか期待できそうだ。即効性の薬ではなく、日に日にじわじわ効いてくるタイプとのことなので、先ずは気長に一か月。
さて。お味はと云うと、何とも説明のできない奇妙な味である。何だろなぁ。今まで味わったことの無い類の味で、旨いか不味いかで云えば、恐らくは後者に入るのだと思う。野菜とその辺の雑草と木屑なんかの茹で汁を飲んで居るよな、そんな感じの微妙な不味さとでも云えば良いだろか。苦みは然程感じられないけれど、灰汁抜きの足りない山菜を噛んだときみたいな、えぐみに似た独特の後味が在る。兎に角、奇妙な味としか云い様が無いのだが、是もじきに慣れちゃうんだろな(笑)。

続・四十路の着付け再考 

|着物| |モノ|


さて。四十路も半ばを過ぎてから、ここ数年来の厄介な悩みの種であった「帯のお太鼓問題」がようやっと解決(参照)。晴れて着物再開と相成り、目下週に二日程は着物 (普段着) を着るなどして、長いブランクのリハビリ中である。
「いやぁ、お太鼓が楽々作れるわぁ。全く帯止め様々でありますなぁ」てな具合にすっかり浮かれて、も一つ忘れて居たのにはたと気付いたのが、帯枕を使わぬ「角出し結び」よ*1
しかし、是も心配御無用。実は先だってのお太鼓問題調査の際に、こんな品を見掛けて、頭の片隅へ留めておいたのだ。その名も「お太鼓止め」とな。

製造メーカーによる使用法の説明 →

件の「帯止め」と比べると、こちらはあまりにもシンプル過ぎて(笑)、果たして本当に大丈夫なのかしらん、と些か懐疑的であったのだけれど、いやいや杞憂であった。なりこそ小さいものの、クリップのバネと云うか挟みがかなり固めなので、しっかり止まって良い仕事をしてくれる。帯の下側に一つでも十分だが、上下で二つ使えば更に頼もしい。

「帯止め」様に「お太鼓止め」様が加わり、四十路の帯問題はすっきり解決。是でお太鼓も角出しも自由自在じゃ!


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でもって、こんな結び方も在るのヨ。

blog.kimonomachi.co.jp

猫耳結び」ですって。成る程、半幅帯のよに前で作って後ろへまわす式なのか。是、恐らくは角出しのアレンジなのだと思うけれど、こう云うのは幾つになっても愉しいものだわね。ふふふ。

因みに半幅帯バージョン()も在り。

*1:小生の場合”角出し”については、手とタレを交差して一回ねじる式を採用。帯結びで文字通り”結ぶ”のは半幅帯のときだけかも。

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