双六二等兵

ポッケにさすらい 心に旅を 日々を彷徨う一兵卒の雑記帖

つるバラとの対話

|本|

つるバラのすべて

つるバラのすべて

日本におけるつるバラの第一人者、故・村田晴夫氏。恐らくつるバラに関して、この人に並ぶ人は誰も居ないのじゃなかろか。氏は惜しくも2011年に急逝されたけれど、亡くなる数年前に書かれた本書は、頁数こそ約120と決して多くは無いものの、書名に「すべて」と在るとおり、個人が自らの庭でつるバラを育てるために必要な知識や技術、心得などの事柄が惜しみなく網羅され、氏が生涯をかけて地道に積み上げて来た哲学が、そのバラへの深い思いと共に詰まって居る。実に中身の濃い、素晴らしい一冊である。


写真や挿絵へ添えられた言葉のひとつひとつに、バラへのひたむきで純粋な思いが滲む。

冬の誘引を終えた風景です。花を咲かせるための特別な誘引はしていません。いまある枝を大切にし、強い剪定は行っていません。一年間大切に育てた枝を粗末にする必要はないのです。
誘引は心のあり様が表れるように思います。花の咲き方は、人の誘引が半分。後の50%はつるバラまかせ。バラに助けられながらの誘引となります。一本一本、枝の特徴や曲がり方などを活かして組み合わせます。枝の持つ癖が風景へと変わってゆく様を楽しみながら。古い枝ほど愛おしいと思えることがあります。

剪定で大切なのは、どうしてその枝を切るのか、考えることです。(中略)
「伸びたから切る」「不要だから切る」というのも答えですが、邪魔だからという理由で花が咲く枝を切るのであれば、植える場所や使い方を間違えている可能性が高いということになります。
切った枝はもう戻りません。つるバラの一本の枝には多くの可能性が秘められていることを、繰り返しますが、忘れないでいただきたいのです。


バラの誘引や剪定について説くとき。具体例や技術的な解説だけでなく、情緒や感性、心のあり様までをも含めて説く人が、果たして居たろうか。
園芸的に正しいとされることばかりが、必ずしも全ての正解となるとは限らないことを、氏は教えてくれる。バラも人も同じ生き物で其々に個性が在り、其々に違う。安易に考えず、気を急がず、一本の枝を大切に育てて。気長に素直におおらかに向き合い、バラの声にそっと耳を澄ませ、対話し、親しく心を通わせる。そう云うことなのだと思う。

園芸覚え書と坊ちゃん刈り

|庭仕事| |雑記|


以下、作業日誌など。

【九月某日】
壁面のワイヤー張り直し作業完了
つるバラの誘引のためのワイヤー張りは、仕事の合間に少しずつ進めて居たので三日がかり。先ずは以前からのワイヤーを全て外した後、壁面の要所へ新たにビスを打ち、等間隔で横へ平行に5本。縦にも数本。ビスの他に雨樋やトレリスなどもフル活用して、なるたけ様子良く、そしてしっかりとワイヤーを張り直した。後はお嬢さん方が枝を伸ばして育ってくれるのを見守るばかり。


【九月某日】
古い木製トレリス再利用
以前に使って居た古い木製のトレリス二つも、この際なので復活して貰うこととした。ポーチの柵にワイヤーで括り付け、秋に入って再び枝を伸ばしてきたオジェのお嬢さんやら、新入りのお嬢さん方を其々に緩く誘引。


【九月某日】
宿根草の購入

  • ベロニカ・シャーロッテ
  • ベロニカ・マリエッタ
  • ペンタス
  • マジョラム

マジョラムを軒下の花壇へ植え、その他は一先ず鉢植えに。


行かねば行かねばと思いつつも、何だかんだで都合がつかず、
ずるずる先伸ばしとなって、そろそろ限界だったのだが、
ようやっと都合がついたもので、ふた月ぶりで散髪へ行って来た。

嗚呼。ぱきっとしゃきっと、坊ちゃん刈りが復活。
襟足を思い切ってうんと短く刈って頂いたので、
尚更、ぱきっとしゃきっと、なのであった。
清々と足取りも軽い帰り道。
刈り上がったばかりの襟足を、ぷつり。
蚊に刺された。やれやれ、である。

新入りお嬢さんたち

|庭仕事|

以下、新入りさんと作業日誌など。

【九月十三日】

トレジャートローヴのお嬢さん、到着。

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「6号鉢入りの新苗」とのことであったが、いざ届いてみたらば、あらまぁ!中長尺苗と云って差し支えないくらいの、実に立派な苗だ!枝も葉も何と瑞々しいこと。赤味がかった新芽がきれいで、暫し四方から眺め回して過ごす(笑)。


一足先にやってきたお二方。

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【左】ジョアシン・アネの新芽。明るいライムグリーン色が爽やか。でも枝は細くてイガイガの棘だらけなので、取り扱い注意(笑)。
【右】ソンブロイユ。しっかりと厚みの在る濃い緑の葉は如何にも丈夫そうだが、クリームホワイトの花色との取り合わせは素敵だろな。

【九月十四日】
■お嬢さんたちの鉢替え

新入りさんたち、6号鉢から少し早めのお召し替え。

  • ジョアシン・アネ』6号鉢→8号鉢
  • 『ソンブロイユ』6号鉢→10号鉢
  • 『トレジャートローヴ』6号鉢→12号鉢

鉢替えは来週中頃辺りを考えて居たのだが、大きく育って結構根が回り窮屈な様子だったので、待たずに其々新しい鉢へ。誘引してつる仕立てにするものはやや大きめにした。特にトレジャー嬢は抜群に伸びる子らしいので、最初から12号(笑)。正面入り口横に置いて、其処からぐるっと軒沿いにワイヤー誘引したら良いかなぁ、素敵だろなぁ、などと考えて居るところ。


■バラ鉢植え用土の配合

(*数字は容量0.6L程度の深型プラスコップ 1すくい=1として)

以上の資材を数字の割合で配合。用土はその都度作らずに、時間の在るときにまとめて作り置きし、空の土袋に入れて保存して居る。そうして置いておくとカニガラの放線菌が元気に働いてくれて、使う時には土全体に白い菌糸が行き渡って、良い塩梅なのである。健やかなバラは健やかな用土が育むのだ。

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